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矢野直明
『情報文化論ノート』
サイバーリテラシー副読本として

知泉書館■定価(本体2600円+税)
デジタル情報社会とは何か?
深く広い領域を照射!!




『サイバーリテラシー概論』、『総メディア社会とジャーナリズム』に続く「サイバーリテラシー三部作」最終巻。現代社会の基本素養としてのリテラシー、「サイバーリテラシー」を理解するために最低限知っておくべき内容を解説しており、これからの情報教育の格好の教科書と言えよう。
 本書は「情報」という言葉の由来、情報と物の違いといった基本的なことからはじめて、いくつかの情報社会論を紹介、そのうえで、電子の文化を生み出した原動力たるデジタル・コンピュータの発達や、ロボット、人工知能、ケータイなど、電子の文化の実際をとりあげている。さらには情報社会に対する批判的見解、現代情報社会がかかえる問題などを考えながら、電子の文化が私たちに与える影響について理解することをめざしている。また日本情報社会の進展を「情報社会の黎明(1960年〜)」、「高度情報社会の進展(1980年〜)」、「デジタル情報社会の出現(1995年〜)」と位置づけている。

 梅棹忠夫「情報文化論」、アルビン・トフラー『第三の波』、増田米二『原典・情報社会』、マーシャル・マクルーハン『メディア論』、マーヴィン・ミンスキー『心の社会』、ローレンス・レッシグ『CODE』、マーク・ポスター『情報様式論』、森岡正博『無痛文明論』など情報社会をめぐる先達のすぐれた業績を、豊富な引用をしながら丁寧に解説、それらの所説を歴史的文脈のもとに整理している。
 著者は、1980年以来、日本情報社会の現場を編集者として過ごし、いくつかの雑誌やウエブで行ったインタビューも適宜紹介、当時の雰囲気がうかがえる読み物としてもおもしろく構成されている。
 サイバーリテラシーは「デジタル情報社会のリテラシー」、「電子の文化のリテラシー」であり、これからの日本人には「自律的な生き方」がいよいよ要請されるとの見解も表明している。
 

 





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