■Online Journal NAGURICOM
沢栄の「さらばニッポン官僚社会」
〈番外篇〉 参議院予算委員会公聴会レジュメ

(2007年3月19日)

3月15日に行われた、参院予算委員会公聴会での北沢の発言のあらまし及び配付資料は以下の通りです。

☆財政・経済改革のキーポイント

結論
1. 財政の好転に向け、まず、カネ余りで使い切れない特別会計(特会)から手をつけるべき
2. 消費増税の前に、特別会計のムダ遣いをやめさせる
3. 特会改革の問題を永久に解決するには、特別会計の制度自体を廃止するしかない


*財政・経済 近年の2大特徴

●戦後空前の財政危機 → 税収増で改善の方向だが、先進国中最悪の借金財政 → 国と地方、長期と短期合わせて1000兆円にも上る借金財政 → 国の一般会計予算(82.9兆円、07年度)の3割を借金(国債)で賄う現状 → 一般会計税収の10年分の借金 → 国民1人当たり借金は約428万円。夕張市民の借金約540万円という試算もある。

●2極型景気回復 → 「大企業は過去最高、社員は不満」「全企業の7割弱が赤字or繰越欠損」「正社員vs非正社員」「シニアvs若者」「東京vs地方都市」 etc. → 「格差社会」(資料参照) → ここ10年来、中産階級が縮小、社会が2極化へ。このような政治・社会問題に対応して、財政措置が講じられなければならないが、財源確保をどうするか?


*なぜ、いま特会改革か → この財源確保を含め、特会改革が重要 → 「行財政改革の本丸」といってよい。

1)  財政改革のため → 肥大化した特会/一般会計の6倍規模 → 2006年度歳出予算では460.4兆円と、一般会計(79.7兆円)の5.8倍に上る。会計間や会計内の出入りなどの重複計上分を除くと、特別会計の純計は一般会計からの巨額の繰り入れなどから、225.3兆円と一般会計(33.4兆円)の純計の実に6.7倍にも膨らむ → 今年度は361.9兆円と、一般会計予算80.9兆円の約4.5倍と格差は縮小したが、依然大きい。 → しかも特会はカネ余りで使い切れない → ムダ遣いの温床 → 会計検査院の検査報告(2006年10月)によれば、2004年度の不用額(予算執行後に残った剰余金から翌年度への繰越額を除いた額)は10.5兆円 → 消費税4.2%相当分 → 02〜04年度の3年間に連続して100億円以上かつ予算の10%以上の不用額が発生した特別会計は8会計、10勘定 → それなのに、一般会計から特会への繰入額が47.7兆円、その逆の特会から一般会計はたったの0.8兆円(05年度)。今年度予算では、一般会計から特会への繰入額は49.36兆円 → 一般会計のカネ不足に対し特会の巨額のカネ余り → 離れで“スキヤキ会計”(03年2月の塩川正十郎財務相の国会答弁)になっている → しかも規律なき財政 → こうした特別会計のカネ余りは、「規律なき積み立て」となって積立金が膨張 → 剰余金から翌年度への繰越額を引いた「積立金」は年金保険料を含め201兆円超(2004年度末、積立金を管理・運用する財政融資資金と外国為替資金の2特会を除く) → だが、ほとんどの特会で積立金の「適正基準」がない

2)  行政改革のため特会改革が必要 → 省庁が自分たちの裁量で官業などに使う事実上の「官のサイフ」に化している。

●雇用保険料や年金保険料財源のハコもの事業(サンピア、グリーンピア、サンプラザ、プラウザ、いこいの村etc.計約2430施設)、年金財源で庁舎、公務員宿舎の整備、まさかのゴルフクラブやマッサージ機購入も。

●労働保険特会の法人別予算のほとんどは天下り先の独法へ配分 → 雇用保険料を財源とする労働保険特会雇用勘定の雇用保険3事業(雇用安定、能力開発、雇用福祉)の法人向け05年度予算をみると、2600億円超の予算の88%が所管の独立行政法人である雇用・能力開発機構、高齢・障害者雇用支援機構、勤労者退職金共済機構、労働政策研究・研修機構に、残り12%が所管の34の公益法人に分配されている。労災勘定の労働福祉事業も同様の傾向。

●しかし、特会は問題が表面化する4年ほど前まで、国会でほとんど審議されず、マスコミも滅多に報道せず、財務省の予算査定もずさんな事実上の「沈黙の闇会計」「隠された裏予算」になっていた。


*特会の5問題
  1. 一般会計は大変な借金財政なのに、特会のカネはダブついている → コスト意識の欠如、公金のムダ遣い
  2. 情報公開されず、長い間国会審議も、マスコミ報道もほとんどなかった“隠された不透明マンモス会計” → 財務省の現在のホームページ「平成19年度予算の説明」でも今年度特別会計の説明はない。各特会の予算額の前年度対比の表がついているだけ。 → 実態不明で監視不全
  3. 一般会計が透明性が高い「表予算」とすれば、省庁の「裏予算」となっていて、省庁の裁量で使い途を決めている → 所管省庁が管理運用。
  4. 天下り先となる官業の主要な資金源 → 「官の聖域」に資金供給。
  5. 省庁の管理・裁量下にあり、財務省もチェックをおろそか → 資金のルーズな管理、ムダ遣い。


*究極の解決策/特会制度を廃止

●主客転倒の歴史 → 歴史的に古く、特会はその前身は明治2年にさかのぼるが、もとは「一般会計への従属性が強く、特に戦時期には、特別会計所属資金は一般会計に繰り入れられる場合が多かった」(「昭和財政史第17巻」大蔵省編、1959年発行) → ところが、いまは法律上は同格(財政法で2つの会計に経理区分)、実態は逆に超巨大な特会に、足りない一般会計資金が繰り入れられる(49.3兆円、07年度予算) → あたかも「特会が主、一般会計が従」の倒錯状況 → 説明責任あり。

政府が成立を目指している特会改革法案では、特会が今後も省庁によって悪用される仕組みが温存 → 制度自体をなくし、国の財政を通覧できるように透明化する → アメリカでは特会はなく、fundごとに独立させて収支がわかるように経理区分している、統合された一般会計方式(統合予算) → 米政府のホームページをみると、07会計年度の米連邦予算は「大統領の予算教書」、各省庁予算などの一般項目と並んで「ナショナル・サイエンス基金」や「社会保障運営」、「小企業管理」などの政策分野別項目に構成。


*抜本改革の中身

特会制度自体を廃止し、どうしても必要な特会事業のみを一般会計上で区分経理する → 不可欠な事業として区分経理が必要となりそうなのは、国債・借入金の償還・利子支払いと地方交付税の交付を経理する2特会など、ごく一部 → 特会制度自体をやめることで、ムダ遣いを生む各省庁による特会の管理・運用に永遠に終止符を打つ → 密室型の特会をオープンな一般会計一本に統合することで、国民にとって国の会計が一段と透明になり、一覧して掌握できる → 「陸上競技場方式」トラック(一般会計)やフィールドの各種競技(個別区分経理)をスタンド(納税者)から一覧できる → あるべき日本の新会計制度は、米国版をモデルとし、それよりも透明で簡潔な日本版をつくるべき → その作業工程は、1. 全特会を制度ごと廃止し、一般会計に統合する、2. どうしても国の関与が不可欠な特会事業に限り一般会計上で区分経理する、3. すべての国の事業の財務内容をわかりやすくするため、民間会計方式を取り入れる → この特会制度の廃止を、複雑化してわかりにくい公的会計制度の大改革の「基軸」に据えるべきだと考える




〈参考資料1〉  (↓クリックすると別ウィンドウで大きな画像が開きます)

〈参考資料2〉